心療内科では、日常生活を送るのが難しくなるほど症状が重いと判断した場合、主に抗不安薬を処方します。不安や緊張を和らげる効果があり、代表的なものは「ベンゾジアゼピン系抗不安薬」です。この薬は、「GABA」という脳内神経伝達物質の働きを強める効果があります。GABAは中枢神経系の活動を抑える機能を持ち、その能力を増強することにより脳内活動が和らぎ不安などの弱められるのです。
薬の種類は、服用後に薬成分の血中濃度が薄まり半分になるまでの「半減期」を基準として、短時間型・中間型・長時間型・超長時間型に分けられます。半減期の短い薬は時間をかけずに血液から排除されますが、それだけ血中濃度がピークになり薬の効果が発揮されるスピードは速くなるわけです。もし急に症状が強まったときは短時間型が、症状が長引く場合には薬の成分濃度が持続される長時間型が選ばれます。
しかし脳が不活発になるため、人によっては昼間でも強い眠気に襲われるなどの副作用が起きるかもしれません。とくに気を付けたい副作用が、薬への依存症です。依存度が強まると薬の効果は弱まるので、注意する必要があります。
抗不安薬を使用する場合、副作用のリスクがあるため、自己判断は厳禁です。依存症の危険を避けるためには、心療内科に指導された服用方法を守ることが望まれます。
薬への依存度は種類や服用量によって異なりますが、数週間にわたり連日の服用を続けると身体依存を避けられません。ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、身体依存が形成されると深刻な事態を招く恐れがあります。長期間の服用後、急に薬を使わなくなる退薬症状として極度のイライラやてんかん発作が現れるため、できるだけ短期間の服用が望まれます。
同時に、薬の過剰摂取は中枢神経系のうち呼吸中枢などが止まる可能性もあり、危険です。アルコール類も抗不安薬と同じく中枢神経の働きを鈍らせる作用があるので、薬を服用したときは控えた方が賢明でしょう。また妊娠中は胎児への影響も皆無とはいえないので、服用には慎重を期する必要があります。
抗不安薬は、日常的な緊張感を静めるための薬ではありません。広島市には専門の心療内科がありますので、一度来院されて、病状に適した服用方法の確認をおすすめします。